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2019.07.26『養生訓』と貝原益軒⑫

 益軒は生涯、98247巻に及ぶ膨大な著作物を残しているという。しかしその正確な執筆量は未だに分かっていない。もっと多いようだ。益軒は生まれつき蒲柳の質で体力は他人より劣っていた。さらに、数種の持病に生涯、悩まされている。そうした体質であれば、たとえ生き長らえたとしても40歳も過ぎればへとへとで、満足に社会生活も営めなかっただろうと想像する。ところが、平均寿命の倍以上の85歳という長命を得、そればかりか、主だった著作物は60歳を超えてからの作品だった。60歳といえば今日でも定年を迎える年齢である。益軒のどこかに想像を超えた力が隠されている。

 

「山崎光夫(1947- )『老いてますます楽し―貝原益軒の極意』新潮社、2008年、10頁」

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