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2013.03.03漢方でできるカゼ・インフルエルザ対策 日経ヘルス

漢方薬は長く使われているが、西洋薬のような科学的データに乏しい面があった。しかし、近年は効くメカニズムの解明や治療効果のデータも積み重ねられてきている。例えばインフルエンザでは、抗ウイルス薬と同等の効果があるとの報告も増えている。

2006~07年にかけて行われた臨床試験では、麻黄湯と2種類の抗ウイルス薬を比較。投与してから解熱までにかかる時間を調べた。麻黄湯はA型インフルエンザに対してはほぼ同等、B型に対しても抗ウイルス薬に引けを取らなかった。
(データ:日本臨床内科医会インフルエンザ研究班)

「眠くならない」「せきだけ、鼻水だけ、といった症状にピンポイントに効く」などの理由から、漢方のカゼ薬が注目されている。薬局などのカゼ薬コーナーも「葛根湯オンリー」だったひと昔前とは違い、処方の種類も増え、多様な剤形の市販薬が並ぶ。中には、医師の処方薬にはないが「効果が高い」と認められ、市販薬だけで販売される薬も登場している。

その一方で、漢方の効くメカニズムや、治療効果についての科学的解明が進み、エビデンスもそろってきている。

呼吸器内科が専門で漢方薬にも詳しい千葉大学医学部の巽(たつみ)浩一郎教授は「例えば、麻黄湯(まおうとう)という漢方薬には抗ウイルス薬と同程度の治療効果がある。また、体力を底上げする目的で使われる補中益気湯(ほちゅうえっきとう)の作用メカニズムも分かってきた。インフルエンザウイルスが気道粘膜に付着するのをブロックするのではないかと考えられている」と話す。

高熱があり、インフルエンザと診断された18人(5~35歳)に銀翹散を1日3回投与した。その結果16人は24時間以内に37.4℃以下に。残りの1人は48時間以内、もう1人は72時間以内に熱が下がり、1週間以内のぶり返しはなかった。(データ:第59回日本東洋医学会学術総会講演要旨集2008)

漢方を中心とした治療を行う平馬医院(内科・アレルギー科、神奈川県大和市)の平馬直樹院長は、09年の新型インフルエンザ騒動の後、中国で現地調査に当たった。「中国では新型インフルエンザウイルスに対して桂麻各半湯(けいまかくはんとう)や銀翹散(ぎんぎょうさん)で治療効果を上げていた」(平馬院長)。

一般的な総合感冒薬は対症療法的に症状を抑える。また、簡易テストでインフルエンザと診断されたときに処方される抗ウイルス薬は、ウイルスの増殖を抑える。

一方、「漢方薬は、ウイルスには直接作用せず、自己免疫力を底上げするように働き、カゼやインフルエンザの症状から『早抜け』させてくれる」と、巽教授は解説する。
(2013/3/3 6:30 日本経済新聞より抜粋)

 

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