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2019.09.04『養生訓』と貝原益軒⑬

 旅好き、読書家、料理通、音楽愛好家、名文家、温泉通など、多彩な面を持つ益軒(中略)君子の道を説く大儒者であるが、決してやかまし屋の学者ではない。「病気になれない」を肝に銘じて長い間きたが、いつしか、自分の寿命はわからないものの、心がけしだいで病気にならないですむかもしれない、と思うようになった。貝原益軒と出会ってからである。

 その膨大な著作を私なりに読みこなすうちに、「病気にならない方法」があることに気づかされた。漢方では、「未病を治す」という言い方がある。病を未然に防ぐべく対策をとる、という意味だが、この具体的方法を益軒から学んだのである。読み返すほどに発見と実用性があるのが、益軒本の魅力である。

「山崎光夫(1947- )『老いてますます楽し―貝原益軒の極意』新潮社、2008年、215216頁」

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